2019年02月04日

方言

インクジェットの用語には多くの”方言”がある.”方言”とは”標準語”が存在することを前提にしているなら,標準語がない様々な言い方も各社にはある.
例えば,ノズルからインク滴を吐出しない状態でしばらく放置した後,次にそのノズルから吐出される液滴の飛翔状態(滴速度や方向性)が変ることがある.最悪の場合には不吐出となる.これはノズルからインクの揮発性成分(主に水)が蒸発することに起因する粘度上昇や色材の凝集などが主な原因である.
この現象,あるいはこの現象を定量化する特性のことを私は’Latency’と呼んでいる.他の会社で’発一’と呼んでいるのを聞いたことがあるし,他の呼び名もあるだろう.私の会社では,アメリカの親会社の方がインクジェットの研究が早く始まったこともあり,用語や特性の呼び方はこの親会社の影響が極めて大きい.
コンシューマ市場,オフィス市場を中心としたこれまでのインクジェット開発においては,垂直統合型というか,自社でほとんどの技術を開発しそれをクローズしていたため,用語についても標準語の必要性は高くなかった.
しかし,様々な市場にインクジェットの応用が広がり,ヘッドを中心に各社で開発されていた技術が展開され,コンシューマ市場,オフィス市場で中心となっていた会社以外の技術者がインクジェットに係ってきた現在,用語が異なることは大きな問題になる可能性もあり,これまで以上に注意すべきことであろう.
日本画像学会の「技術用語集委員会」にも所属しているが,「技術用語集」はインクジェット用語のみを集めたものではないのでここに方言を記載するのは難しそうである.2008年,2018年に上梓した書籍「インクジェット」の巻末に記載することも考えたが,各社の方言を集め比較する十分な時間がなく断念した.
しかし,このブログ,あるいはインクジェット技術交流会の取り組みとして,ぜひ,「方言集」をまとめたみたいと思う.
https://www.inkcube.org
posted by インクジェット at 14:05| Comment(0) | インクジェット